XS2 (XS650E) レストア記

ずっと探していたXS

XS1とXS2両方手に入れるつもりですがまずXS2が手に入ったのでレストアの記録

オリジナルで残っていればどれだけ朽ちていようが構いません

遠く宮城県から昭和50年代に車検が切れたXS2がやってきました

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【フロントブレーキ】

初めて握った時からスカスカでマスターは押された状態でピストンが固着しているようです

しかしキャリパーの固着はありません

動かす時にブレーキが効かないのが不便なのでまずここからレストアすることにします

マスターシリンダーをチェックします

気持ち悪さを超えて何かもうおいしそうです

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傷が付かないように油を入れながらプレスでピストンを抜きます

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キャリパーはホースを外してから

下部のパイプの固着が激しく動きません

パーツが出る事を確認し長めのボルトを溶接してから緩めました

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キャリパーを分解していきますがピストンは全く動かず

一度他のマスターとホースでラインを作り油圧でゆっくり動かして取り出します

エアブリーダーは完全に固着しており大き目のナットを溶接して外しました

ちなみにキャリパーは鉄でできており1500gありました

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エアブリーダーはなにも考えずに溶接し取りました

しかしこのキャリパーのエアブリーダーはM8のP1.0と非常に特殊で代用品が見つかりません

ほとんどはM10P1.0(ブレンボなど)M8P1.25(スミトモ、ニッシンなど)なのです

このキャリパーはスミトモ製なのですが・・・

そこで先ほど溶接したエアブリーダーを綺麗にナット部分を取り、他の適当な頭の部分を用意します

そして・・・溶接

ねじ山を潰さぬよう、内部を埋めぬよう、締め付けトルクに耐えれるように・・・

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ホースも固体化したフルードが詰まっており丁寧に掃除します

曲がったレバーもプレスで形を整えます

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レバーは研磨、ボディはブラストしパウダーコートします

ほとんどの部品は出ないので再利用します

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完成

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【点火のチェック】

とりあえずボロいけどエンジンはかかる・・・なんて夢叶うはずがありません

圧縮はあるようなので一度始動して状態をチェックしたい

火花チェック・・・・飛びません

というわけで点火系部品の交換、調整を行います

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XSはポイント点火です

メンテナンスは少々面倒ですが個人的に好きな点火です

このコンタクトブレーカーの反対側には機械式の遠心進角ガバナーがあります

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コンデンサーは恐らく壊れているだろうと点検するが予想通り電気を吸い込みません

とりあえずポイントとコンデンサーで火花は飛びそうです

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エンジン始動の前に豆球テスターでなんとなくタイミングを合わせておきます

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始動したいところですが

旧車の要が残っていました・・・

 

 

【キャブレター】

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ミクニソレックスキャブレター

ミクニがフランスのソレックス社と技術提携を結び生産されたこのキャブレターはXSの絶版部品の中でもかなり重要な位置づけとなります

OHしたらいいじゃん?と思うかもしれませんがボディも消耗品です

状態の良いボディがこれからのXSライフを左右するといっても過言ではありません

 

まず取り外し

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分解します

嬉しい事にガソリンは抜かれており腐食も少なめです

ちなみに部品は出ますが例えばダイヤフラムは1つ3万円します・・・

破れていませんように

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固着も少なく全て取り外せました

超音波洗浄します

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ピカピカになりました

組み立てます

ちなみに真鍮のフロートは1つ6000円です

これは当時のままですが綺麗な状態でした

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メインジェットはどこ?スローは?と思う方もいるかもしれません

ソレックスはボディにジェットが付きません

スローはここ

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メインはここ

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1つ1つ通路のつまりをチェックしながら組み立てます

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車体に取り付ける前にマニホールドのカバーをガンコート

マニホールドにはミクニの文字が・・・

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エアクリーナーボックスは

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ブラストして

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パウダーコートです

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エレメントを新品にしてキャブと同時に取り付けます

で完成

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さてこれでやっとエンジン始動できます

カスカスのヘッドにオイルをたっぷり送り準備をします

30数年ぶりに火が入るわけです

チョークを引き・・・力任せにキックします

 

1回のキックでエンジンかかりました・・・うーむ少し感動です

このバイクが永い眠りから目覚めたわけです

 

変な音や煙が出ない事を確認しキャブレターの最終調整です

高回転、全開での調整は今はできませんので省きます

全閉時の混合気の調整などを行います

 

そして点火時期の調整です

タイミングライトでしっかり合わせておきます

ポイントギャップ0.4だとプレートを大幅に回さないと点火が遅いので0.5で合わせます

 

しっかり点火を合わせないと不調の時に原因が分からなくなります

これのせいでキャブをいくら調整しても調子が出ない事もあります

進角ガバナーの動きも確認します

3500回転で最大進角になる事を確認し終了します

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レストア記 2