今回のエンジンOHとチューンは、SR400をベースに行います。
500クランクと、ビッグボアで608ccまで排気量を拡大します。
他の条件が同じであるなら、排気量が上がるとパワーも上がります。
しかしそれには限界があり、大きくすればいいというものではなく「耐久性」とのバランスを考えることが必要になります。
さてどのようなエンジンになるのでしょうか。
ちなみに「400から600ですか?500ベースではなく?すごいですね。」と言われることがよくあるのですが、やっていることは同じです。ただ言いたいことはわかる気がします。400のストロークは67.2mm、500のストロークは84mmで、このストロークのまま600の排気量を得ようとすると、500の場合は95mmのボア(ピストン)で595ccになるのに対し、400の場合は、2{(595*1000÷3.14159÷67.2)^1/2}≒106mmのボア(ピストン)になるのです。
そりゃ106mmはすごいです。シリンダーのスタッドボルトまで届いてしまいます。
つまり400ベースでも500ベースでもストロークは84mmボアは95mm(595ccの場合)ですので、同じです。
クランクケースはセラコートです。
今回は96mmのピストンを使用しますので、ケースボーリングもしてあります。

ミッションやシフトフォークを点検後、必要な部品を交換します。


ベアリングを1つずつ丁寧に圧入し、新品のクランクも引き込みます。



内径96mmのスリーブをターカロイ鋳鉄で製作し取り付けます。
冷却による寸法変化に気を使いながら内径を仕上げます。
圧入後、圧縮が変わらない程度に面研します。

超音波洗浄します。
スリーブ壁だけでなく、面に残った油分やゴミを完全に除去できるのでガスケットの持ちが非常に良いと思っています。
フラッシュで撮影するとこのように背脂スープのようになってしまいました・・・。

シリンダーを面取りし、Oリングを取り付けできるように加工します。
純正よりもさらに大きいOリングを取り付け、オイルの侵入防止を純正と同じ方法で行います。


ピストンは96mm。
かなり大きいピストンです。


シリンダーのナットはジュラルミンで製作しました。
汎用機で手作りです。



シートカットをしたシリンダーヘッド。
外当たりで摺合せをしたバルブを取り付けます。


カムはST1。
フルチューンのカリカリではなく、目的は大排気量のSRなのでST1を選びました。

シリンダーやシリンダーヘッドもセラコートのブラックで塗りました。
ヘッドカバーは同じセラコートですがガンメタほど濃くない、大人シルバーです。


以前の記事でも紹介しました限定のオイルライン。
ありがとうございます。
オリジナルといっても何の効果もございません。
普通のオイルラインです。

パウダーほやほやのフレームにエンジンを積みます。
フレームについては別記事で紹介します。
カバー類はバフ仕上げで少しクラシックな雰囲気が残ったエンジンになりました。

ポイントはここです。
キックアクスルをセラコート。
ここ錆びますからね・・・。

記事はこれでおしまいです。
慣らし頑張って下さい。
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