シャリーのフルレストア【その2】

フレームから。

 

 

通常フレームを塗り替える場合、元の塗装を削って錆を落としたり慣らしたりします。

その後下地を吹きウレタン塗料で仕上げるのが一般的です。(プロの仕事として缶スプレーは論外とします。)

しかしながら初期型シャリ―はフレームを含め全ての外装パーツがスチールでできていますので今回はウレタンではなくパウダーコートで仕上げたいと思います。

 

パウダーコートの一番の利点は強度にあります。

フレームですのでエンジンを含めた様々な部品が取り付けられることになります。

これから先、整備をする度に部品を脱着することになりますがその際ウレタンではどうしても剥がれてしまいます。

というよりも剥がれないように気を遣うのが嫌なのです。

雑に使用しても砂利道を走っても手入れさえすればいい状態を保つことができるというのは私自身の理想です。

登山靴と同じ考えです。

 

パウダーコートで仕上げるためには元の塗料を全て剥がさないといけません。

刷毛塗りの下から出てくる錆を確認しながら剥離とブラストを行います。

 

 

シャリ―にしか使用できないスタンドを製作しセットします。

 

 

このような感じでセットします。

裏側もパウダーコートしますので塗りやすさと焼き付ける機械のことを考えてこのようなかたちになりました。

 

 

 

 

カラーはマスタードイエローです。

アメリカから何色か取り寄せて、気に入ったカラーを選びました。

焼き付けて冷まさないと色が分からないところがパウダーコートの難しいところ。

またこれはウレタン塗料にも共通しますが隠ぺい力というものがあり、冷ました時に色がのっていないことがあります。

特に黄色は隠ぺい力が弱く、しかもウレタンのように見ながら確認できませんので経験を頼りに粉を重ねていきます。

重ねすぎるとゆず肌になりすぎたり、後にクラックが入ることになります。

 

 

 

焼き付けて、機械から出した直後はオレンジ色ですが冷めるにつれてマスタード色に変わっていきます。

 

 

ライトステーやヘッドライト、サスペンションカバーなども全てマスタードにします。

同じように剥離とブラスト処理をし、焼き付けます。

 

 

 

 

 

 

フェンダーもスチールですのでパウダーコートします。

特に錆びやすい裏側は錆の上から刷毛で塗られていましたのでブラストで全て剥がします。

 

 

カラーはクリーム系のホワイトです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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シャリーのフルレストア【その1】

いつもはSR400、SR500ばかりですが今回はシャリーのレストア作業を紹介したいと思います。

1回の記事ではまとまらないのでしばらくシャリーネタになりますが悪しからず。

 

 

 

車両の紹介をしたいと思います。

1978年CF50K2-3という初期型モデルのホンダのシャリーになります。

初期型のシャリーの正式名称はシャリイホンダです。

ホンダのシャリイホンダ?

発売された頃を知っているお客さんはシャリイホンダや懐かしい、と言っていましたので間違いないようです。

 

年式の割に綺麗な状態に見えるかもしれません。

ところがよく見ると塗装面は錆の上から刷毛で塗り重ねてあるような状態です。

 

 

 

タンクは後で紹介しますが内側が錆びています。

 

 

 

欠品があるとレストアするのに非常に手間がかかりますのでボロボロでもいいから部品ができるだけ揃っているものを選びました。

後、エンジンが分解されていないというのも重要なポイントです。

理由は下手に組まれると直せない場合や直すのに時間がかかる場合が多いからです。

 

 

 

分解します。

配線はそのまま使用できそうです。

これにも理由があって1970年代のホンダ車はハンドルの内側やフレームの内側に配線が通してあり劣化がないものが多いのです。

現在SRなどのカスタム車でハンドルの内側に配線を通したりできるだけスッキリさせるために色々と苦労していますが、1970年代に量産車でこれを行っていたわけです。

シャリーはこの後1979年にモデルチェンジ(丸灯のプラフェンダーのモデル)しますが、その時はもう配線やケーブルは外に取りまわすようになります。

手間を考えると当たり前のことです。

 

 

 

分解されていないであろうエンジンを下ろしました。

 

 

その他も全てバラバラにしていきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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SR500 エンジンOH

エンジンのOHは頻繁に行う作業の一つではありますが、未だに飽きることもなく毎回楽しく作業しています。

同じエンジンを分解して組み立て続けるからこそ比較することができます。

 

生産台数が多く、中古車が多いSRならではの問題も多く、様々な部品が混ぜられたエンジンいわゆる【ちゃんぽんエンジン】がみられるのも特徴の一つです。

 

知っていて混ぜることは問題ありませんが知らずして混ぜることは時に毒を混ぜることになります。

怖いのは混ぜたからといってすぐに壊れるわけではないということです。

少しずつ毒が回り数年経ってから壊れたり、何万キロか走行して壊れる場合もあります。

原因が分からぬままOHしそれを繰り返すことも多いのです。

 

 

このお預かりしたエンジンはクランクケースが1983年モデルでミッションなども同年式で間違いありません。

 

 

ところがクランクケースカバーやジェネレーターは1978年モデルの物が使用されています。

 

 

 

シリンダーも1978年モデル。ところがヘッドやヘッドカバーはまた違う年式の物が使用されておりました。

今回は毒も混ざっていましたのでそれを取り除き、毒のないちゃんぽんを組み立てます。

 

 

 

クランクシャフトはシャフトの変形を直して芯出しします。

 

 

 

 

強化オイルポンプよりも大切なのは圧力を逃がさないこと。

フィード側のポンプの容量を増やしたところでドライサンプエンジンで重要なスカベンジ側のポンプから圧力が漏れていれば致命的なダメージになります。

 

 

この車両はフィード側のポンプとケースに傷がありましたので交換しました。

ガスケットやオイルシールは全て交換します。

 

 

バルブも曲がっていました。

 

 

 

 

 

 

 

ヨシムラワイセコで522cc。

 

 

 

セラコートでシリンダーのみブラックにしました。

 

 

 

こんな感じで組み上がりました。

これで安心して乗ることができます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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