SR400 エンジンのこと

SR400、SR500のエンジンのOHの作業はブログでもよく紹介しています。

歴史も長く台数も多いSR、色々あります。

何の問題もなく分解できるのは稀で、ほとんどの場合何かあります。

紹介できないものも多いですが今回はその何かの一部を紹介したいと思います。

 

 

 

SR500のエンジンOHで外したピストンです。

ノーマルの状態でしたがピストンはご覧の通りSR400の純正ピストンに交換されています。

 

 

一度焼き付いています。

 

 

 

SR400とSR500はボアが同じです。

ストロークの違いによる圧縮の差をピストンの形状で合わせてあるのですがSR500にSR400のピストンを組むと圧縮比がかなり高くなります。

ボアが同じですので【ピストンを交換するだけの簡単チューニング】なんて流行ったことがあるのかは不明ですが結果はご覧の通りです。

よくあるトラブルの一つです。

 

軽い焼き付きでしたらエンジンは始動可能で走ることもできます。

このエンジンも始動していました。

 

ピストン径はマイクロメーターの数値通りですが変形しています。

 

 

 

変形したピストンがシリンダーを叩き続け、シリンダーの寸法も異常値になります。

 

 

 

オイルが上がり続けピストンにカーボンが堆積し更に圧縮が上がっていきます。

オイルが燃え続けているわけですから量が少なくなり、シリンダーヘッドにもその影響が及んできます。

 

摩耗したカムシャフトとロッカーアーム。

 

 

鈍感な人でもさすがに気付き始める状態ですが、まだ気が付かない人もいます。

このエンジンは乗っている人が壊したのではありません、壊れるエンジンに乗っていただけなのです。

 

 

 

 

 

もう一つ。

初期型のSR400のエンジンです。

 

分解すると色々分かります。

ケースは1983年式。

 

 

 

 

 

シリンダーも同じく1983年の頃のものです。

 

 

 

 

ところがヘッドは1979年のモデルのものになります。

 

 

 

ヘッドカバーは同じく1979年のものですが、ロッカーアームが違います。

 

 

 

カムもセットで交換されていたら問題ありませんがカムシャフトは初期型のものですのでこのままでは使用できません。

これよりも大きな問題なのは同じ1979年式のヘッドとヘッドカバーなのですがセットものではない為に両方使用できないということです。

 

それぞれに相方がいたはずなのですがどこに消えたのでしょうか。

もう見つかることはありませんのでこのヘッドとヘッドカバーは世に出回らないように捨てなければなりません。

 

このエンジンもまたこのまま乗り続けていたら壊れることになったわけですが、乗っていた人の乗り方が悪くて壊れたわけでもなく壊れるエンジンに乗っていただけなのです。

 

 

SR400,SR500のエンジンでこのようなトラブルが多い理由はモデルチェンジをしても形状がほとんど変わっていない点にあります。

年式が違っていても部品を組むことができるのです。

焼きなどの処理の違い、材質の違いがあれど組めてしまいますので中古部品や年式違いの部品などを組むことによって【ちゃんぽんSR】が完成してしまいます。

 

こうしたSRをOHし安心して乗ることができるようにこれからもエンジンを開け続けたいと思います。

中を開けて部品を綺麗にすることだけがOHではないのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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1979 SR500SP エンジンのOHとエンジン塗装 その2

前回の続きとなります。

1979 SR500SP エンジンのOHとエンジン塗装 その1

 

 

ミッションは一部部品を交換しました。

古いですが状態も良くまだまだ使用できます。

 

 

 

ケースを組んだ後はフライホイールやクラッチなどを組みます。

 

 

 

摩耗が進んだシリンダースリーブ。

 

 

新しく製作し入れ替えます。

 

 

 

新品ピストン。

クリアランスは基本は純正に合わせますが使い方などを聞いたうえで考えて1台1台決めています。

 

 

ガスケットに油分や異物が付着しないように相当神経質になりながら組んでいます。

神経質と言ってもいつも通り組んでいるだけです。

 

 

 

バルブは摩耗があり新品に交換。

シートカット、すり合わせを行い組み立てます。

 

 

 

カムシャフトに摩耗がありどうせならとハイカムを入れることになりました。

オイル管理さえしっかりすれば長持ちします。

 

 

 

1978、1979年のSR400、SR500に見られる特徴的なシリンダーヘッドカバー。

問題ありませんのでロッカーアームを交換し使用します。

 

 

 

シリンダーは1983モデルの物に交換されていました。

ヘッドは1979年で間違いないです。

これもまたこのSR500の40年の歴史で経緯も想像できます。

 

 

オイルラインはフィッティングをフライスで製作しツインラインにして取り付けます。

 

 

 

出来上がりました。

 

 

 

カバーはパウダーコートです。

 

 

今回のエンジンOHはこれでおしまいです。

慣らし頑張ってください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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1979 SR500SP エンジンのOHとエンジン塗装 その1

エンジンのネタ連続ですいません。

前回紹介したエンジンと年式もモデルも同じ1979モデルSR500SPのエンジンOHと塗装になります。

前回はオリジナルの塗装にしましたが今回はブラック仕様となります。

 

 

初期型と言えばこのカラー。

長年の歴史の中でレプリカモデルも出ておらず旧車の雰囲気ムンムンです。

 

 

 

SR400、SR500のエンジンンOHで気にするポイントは大きく2つです。

 

1つは部品の状態。

「見る」「触る」「測る」の3段階で素早く正確に良否を判断します。

これは経験値に勝るものはありません。

 

もう1つは【年式適合】です。

ここで言う年式適合は外観のことではありません。

何十年も動いていればエンジンを分解されることもあるでしょう。

問題なのはその時に、間違った部品が組み込まれていることがあることです。

間違った組み方ではありません。間違った部品を正しく組んであるということです。

ただ意図的に年式違いの部品が組まれていることもあります。

これも分解してチェックすればすぐにわかります。

 

エンジンを下ろしました。

このエンジン随分昔に分解されたことがあるなあ・・・なんて考えながらバラバラにしていくわけです。

 

 

 

分解後洗浄してセラコートでブラックにしました。

ベアリングを圧入し、シリンダーはスリーブを製作するために抜いて準備します。

 

 

ヘッドのフィンは研ぎました。

 

 

 

クランクシャフトは分解しベアリングを交換後、芯出しします。

 

 

 

状態をお客様に伝えて、メニューを決めて、部品を注文して・・・。

いつも通りクランクから組んでいきます。

 

 

続きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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